広報紙・社内報

 広報紙や社内報は地域や団体のコミュニケーションを図るものです。あまり堅苦しくなく、柔らかい雰囲気の紙面がいいでしょう。写真を多めにして、幅広い年代の人にわかりやすい記事を書くことを心がけましょう。そして身近な人への取材・インタビューなども大いに取り入れましょう。
 広報紙づくりの大変さとはこの「取材」にあると思います。所属する地域の集団や団体の活動を広く知らせ、紙面が住民や社員とのパイプ役となるのです。そしていかに興味を持って読んでもらうかが編集者の力量なのです。そのために掲載内容を単調にならないよう、報道・特集などを考え、時にはコラムなどを入れるのもいいかと思います。住民や社員の方から募集してもいいでしょう。何れにしても住民や社員の情報共有、モチベーションアップが目的です。そしてただ単に情報の一方通行ではなく、お互いの関心を増やし、相互交流を図るべきです。しかし、特定の神社のお祭りへの参加を促す記事などは、布教活動につながる恐れがあります。行政機関では特定の宗教の便宜を図ったり阻害することは禁止しています。ただ単に神社の歴史的価値や魅力を伝えるのであれば問題ないでしょう。
 また、優れた広報紙・社内報は地域・会社のイメージアップにつながります。まず、自分たちの足元を見直し、魅力を発掘するところから始めましょう。

 記事を書く時の注意点としては、著作権の問題があります。必ず「著作権(写真を含む)の帰属」を確認しましょう。また読者が限定される広報などでは問題にならなくても、ウェブサイトでは問題になる場合もあります。取材時にはウェブサイトに掲載する旨を伝え、了解をしていただくことが大切です。
 新聞記事の引用は「私的使用、あるいは記事の紹介」程度であれば問題ありませんが、新聞記事にも「編集著作物」として著作権があります。「転載禁止」の断りがないものは、出所を記した上での転載が可能な場合があります。詳しくは新聞社に問い合わせてください。
 写真の場合も肖像権の問題があります。個人の写真であれば確認を取れますが、お祭りなどの集団写真の場合は一人ずつ許可を得るわけにはいきませんから、撮影時「○○町広報」などの腕章をつけて広報誌の取材であることを明らかにしましょう。また、広告看板など、特定の企業や個人の売名につながる記事は避けるべきです。どうしてもそういった広告や看板が写り込んでしまう場合はトリミングしたり、ぼかして目立たなくしましょう。

 広報紙・社内報の判型は最近ではほとんどA4判となっています。以前はタブロイド判も結構あったのですがレイアウトのしやすさなどからA4判が増えたのではないかと思われます。またA4判が国際規格となったという理由もあるでしょう。しかし最も大きな理由はウェブサイトで閲覧できるようになったことが大きいのではないかと思います。タブロイド判ではウェブサイトで読むには大きすぎて読みにくいし、B5判程度だと文字が小さくなってお年寄りが読みにくくなります。A4判ですとそのままPDFとして掲載することも可能です。
 前述の通り、広報紙・社内報もウェブサイトで公開するのが当たり前になって来ましたので、制作するにもウェブサイト公開を前提に考えてもいいと思います。

 また、役所、企業でも広報紙・社内報はDTPを導入して内製化することが多くなって来ました。コストを削減できる、作業工程が短縮できるなどのメリットがある一方、DTPソフトの習熟に時間がかかり、パソコンやアプリケーションの導入にもコストがかかります。トラブルも発生しますし、文字を入力する手間などを考えると、必ずしもメリットばかりではありません。DTPを導入する場合は普段利用している印刷所との連絡を密にし、トラブルがあっても対処してもらえるようにしましょう。