記念誌

 それぞれの団体や個人の歩みを振り返る記念誌は、発刊スケジュールを決めてから資料を収集し、年表を作成するなどのかなり煩雑な手間がかかります。5年ごと、10年ごとに定期的に発刊している場合は資料も揃っているでしょうが、不定期に発刊する場合は資料を揃えるのも容易でない場合があります。日頃から自社の歴史的資料として必要だと思われるものは保存するように心がけておきましょう。将来、創業○○年や、新社屋が落成するなどのイベントが控えている場合は意識して資料を揃えましょう。写真などは散逸しやすく、探すのも一苦労ですが、デジタル時代になってプリントされないままデータとして残っている写真も数多くあります。そういった写真は世に出ないまま消されてしまうことになり兼ねませんから、多くの方々にお声がけをして収集しましょう。
 特に創業者や経営陣の行動や考えを記したものは、創業の理念を若い人々に伝えるものとして貴重です。創業者の伝記など、一冊の本として出版するだけの予算もかけられない時には、記念誌の中に盛り込む方法もいいでしょう。
 そして、大事なことは「何のために」出版するかということです。目的の不明確な記念誌は従業員にも、顧客にも読まれないということになりかねません。編集者にとっても報われないことですし、予算の無駄遣いとなってしまいます。経営に携わる方々と一緒に、「誰に対して」「何のために」「どのような内容で」「会社の将来は」といったことを検討して作るのが肝要です。それらが決まれば、自ずとページ数や発行部数は決まってくるかと思います。

 編集者、あるいは編集室を作り、場合によっては編集委員会を儲けましょう。方向性を決め、企画の立案をする編集委員会と具体的な作業を進める編集室とは役割が違います。編集委員会から出された企画案に基づいて編集室は資料の収集、原稿の作成あるいは原稿の外部への依頼を行い、編集室から出て来た原稿のチェックをするのが編集委員会です。
 また、内部の人間だけでは手が足りない、資料は収集したが忙しくて進まない、などの場合は外部のライターに依頼してみてはいかがでしょう。文章のプロは、プロとしての仕事をこなすものです。