月刊『弘前』2019年10月号(第483号)

特集 バサラ文学賞   

 バサラ文学賞をご存知だろうか。
 旧南津軽郡浪岡町が、平成の大合併で青森市になってから11年になったのを契機に一地域である「浪岡」で創設された文学賞である。「いまはもう地図にはないこの町に《物語》をください――。」と浪岡に関係のある事柄を取り入れた短編作品(物語)をジャンルを問わず募集した。さらに「バサラ大学」を開講し、物語とは何かを学ぶ場をも提供したことは、その講師の多彩さもあり、なかなか興味深いものだった。
 募集の際、11年目だから作品は四百字詰め原稿用紙11枚。締切は11月11日。賞金は11万円と設定したと聞いた。当然12年目の賞金は12万円、締切は12月12日。原稿枚数は12枚となっていた。なかなかのシャレである。さて3年目は?と思っていたら、締切は11月30日だったが賞金11万円、原稿枚数は11枚に戻っていた(語呂合わせもだんだん難しくなるものだ)。
 昨年、第1回と第2回の受賞作品を載せた作品集が、今年、第3回の受賞作品集が刊行された。選ばれた作品はバラエティーに富み、短いながらも読みごたえのある作品ばかりだ。
 補助金を受けての事業ということもあり、3年間で一応の完結をみたが、これから自己資金を蓄えて「バサラ文学賞」を再開しようと方法を模索中だ。


表紙写真

  • センフリ・・・・・・村田孝嗣
  • 巻頭随想
    ダンスの街 弘前・・・・・・岩渕伸雄(FUNKY STADIUM 代表)
  • 特集 バサラ文学賞
  • サイエンス、ときどきナンセンス  その22
    ジョークをより面白くする「笑い声」・・・・・・清水俊夫
  • 猫の時間 4 
    私的に素敵屋・開業・・・・・・清水典子
  • さまよえる演劇人 223
    2年半くらい待つのか・・・・・・長谷川孝治
  • ガマシンの半覚醒日記 108
    ホカホカだったのだ!・・・・・・鎌田紳爾
  • 多々他譚~TATATATAN~ 102
    「夢の祭り」フェス・・・・・・世良 啓
  • 整体雑想庵 7 
    今の時季の整体法・・・・・・前田普山(じねん堂休息庵)
  • ニャンともワンダフル 223
    続41こころがやさしくなるとき 夏の思い出 ①・・・・・・田中みゆき
  • 誌上美術館―西谷昇仙の世界 4
    陸羯南詩「名山」・・・・・・西谷昇仙
  • 男の厨房 223
    味噌コロ煮・・・・・・三上邦康
  • 文化とデザイン 6 
    光っている看板・・・・・スティーブン・マックウィニー(弘前学院大学文学部英語英米文学科 講師)
  • 発信 学都ひろさき 108
    平和構築への小さな試み・・・・・・VLカーペンター(弘前大学名誉教授
  • 続 よしなしごと (新連載)
    三歳までが勝負・・・・・・福井次郎
  • 男→女リレー随想 166
    ハッピーエンド・・・・・・久保 茜
  • 医者様のくりごと
    北溟寮入寮の頃(六) 上手い、旨い・・・・・相楽衛男(さがらクリニック)
  • 旅の窓から 279
    釣果に拘らない釣り⑤・・・・・・根深 誠
  • ましらの珍句漫句 327
    想定外・・・・・高森ましら
  • ミヤノハウス 3 
    ミステリアス豆腐・・・・・・ミヤモトフミ(まんなかづくり実行委員)
  • 霜ネタ劇場 200
    インディー・ジョーンズVSダイ・ハード partⅦ・・・・・・高瀬霜石
  • 昆虫学者の日常 23
    弘前大学と昆虫学・・・・・・中村剛之(弘前大学教員)
  • 今月の一冊
    漫画『はじめアルゴリズム』・・・・・・佐伯建志
  • 9月のベストセラーズ
  • 城下町日録 43
    眠 り ・・・・・・佐々木宏一
  • 弘前告知板・出版案内
  • 目次
  • 表紙によせて・・・・・・村田孝嗣

    センフリ

      センフリはリンドウ科の植物で、津軽地方の日当たりの良い芝生の山で見かけたものだ。漢方では消化を助ける胃薬としてよく採られたせいか、最近ではなかなか見当たらない。昔は小さな束にして乾燥させ、漢方薬としてよく売られていたものだが。
    何カ所か今でも自生している所を見つけ、毎年花の写真を撮っている。派手さはないが、リンドウの花の気品を感じさせるいい花である。山の紅葉が始まる頃に花をつける。ヤマザクラの真っ赤な落ち葉に埋もれるように咲いていて、季節感を漂わせていた。

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