上製本の各部分の名称

ジャケット(カバー)

 普段、上製本に触れるときに最初に目につくものです。本の内容をどうやって表現するかがデザイナーの腕の見せ所です。ジャケットのデザインがいいとそれだけでうれしくなります。

 本の推薦文などが印刷されています。最近では帯なしなのに帯に見えるようなジャケットのデザインにしたり、逆に帯をジャケットと同じデザインにしたりと、内容・デザインは様々です。

スピン

 糊付けされた布製のしおりです。

 

花ぎれ

 普段はあまり気にも留めませんが、意外といろんなデザインがあります。花ぎれ、スピン、見返しなどの色のコーディネートは隠れた楽しみでもあります。もともとは本棚から本を引っ張りだすときに指をかけるためのものです。表紙の補強ですね。

表紙

 普段はジャケットに隠れてしまいます。ジャケットのデザインを簡略化したものがよく使われます。たまにはジャケット外して見てみてください。本文と表紙の高さの違いを「チリ」といいます。

見返し

 表紙と本文のつなぎとなります。片面は表紙に糊付けされています。糊付けされている方を「きき紙」、糊付けされていない方(上記イラストで見返しの引き出し線があるもの)を「遊び」といいます。

 厳密には部分ではありませんが、本文の上側(?表現が難しいですね)を差します。本文の校正をしているときなどに、「上」だけだとどこの上なのかが解りづらいことがあるので、「天」と表現します。

 「天」と同様の本文の下側のことです。

小口

 「天地」が上下なら左右は「小口とノド」と表現します。小口は本文の糊付けされていない方を差します。

 ノドと似ていますが、ジャケット側からみたときには「背」といいます。丸みを帯びた丸背と直線上の角背があります。本文のページ数が多いときに背を揃えると、折り丁の折り目部分が重なって厚く、小口側がスカスカになり、本のノドと小口側で厚みにバラツキが出てしまいます。そこで少しでもノドの厚みを抑えるために工夫した結果が丸背です。ですから、本文のページ数が少ないときには製本行程が少なくて済む角背に、ページ数が多いときは厚みのバラツキを抑えるために丸背にします。

ノド

 背とは逆に内側からみたときに本文が糊付けされている側を「ノド」といいます。