岩木山・花の山旅

三浦章男

¥3,080 (税込)

大好評だった地元紙連載のフォトエッセイをさらに充実させて刊行。四十数年間岩木山に登り、自然を見守り続けてきた著者が、思いの丈を語り尽す写真エッセイ。岩木山の豊かさを再認識させる438種もの花を紹介。漢字名、花名の由来が新しい発見をもたらす、図鑑として山行、散策にはもちろん、作句等にも大いに役立つ一冊。早春から初冬までの花たちの競演をお楽しみ下さい。

商品カテゴリー:

商品詳細

  • 製品番号:ISBN978-4-89297-121-1
  • 内容量:360頁
  • サイズ:A5 [148×210mm]
  • 発売日:2008年08月10日
  • 版 数:初版

説明

あとがきより抜粋

 この「岩木山・花の山旅」は、陸奥新報紙に、第一期分として一九九九年九月六日から二〇〇一年六月十八日までの六十五回。

 さらに第二期分として二〇〇二年九月十六日から二〇〇三年九月二十九日まで四十二回、合計百七回にわたって掲載されたものと二〇〇七年八月に東奥日報紙に「岩木山・花の山旅」として十四回シリーズで掲載されたものをベースにして編集したものである。

 この両シリーズで紹介した花は約二百種であった。それに、今回の「岩木山・花の山旅」には百種の花の写真と百の文章を書き加えた。さらに、これまでに確認し、写真で記録してある百三十八種の写真を掲載し、「科と属名」それに「花名の由来」を書き加え、索引という形で掲載した。掲載写真は四百四十一枚になっている。

 だが、これは単なる写真集ではない。私が写真集を出版したといったら、この世の「写真家」や「写真愛好家」が怒るだろう。これは写真集に値するものではない。

 私の本音で言うと、これは新聞掲載時の「癒しの山に安らぎを求めて 岩木山・花の山旅」というタイトルからも分かるであろうが、花に癒され、安らぎをもらう登山者の目をとおして、花を主人公にした紀行文であり、花の随筆文集である。

 私が特に心を込めて、自分の感性に訴えて表現したのは花それぞれの「キャプション」である。そこに紀行と随筆の意味を持たせたかったからだ。だから、決して、仰々しい「花図鑑」ではない。

 しかし、使用している写真の「写りの悪さ」を除けば、その「解説項目」や「科と属名」、加えて「花名の由来」などは、十分「図鑑」にもなるだろうと考えている。

 花名にはカタカナ表記の他に「漢字名」を付けてある。これは表音文字のカタカナでは「意味」から花名の理解が出来ないと考えたからである。

 実際に私は花名を覚えるのにすごく苦労した。今だって思い出すのに毎回苦労をしている。何故かというと「カタカナ」で覚えようとしたからである。花名の単純なものは花の形や色具合によるものがある。これは漢字で覚えると意味が具体的に直ぐ分かる。他のものも表意文字の漢字では、意味も併せて理解出来るので覚え易いし忘れにくい。

 「花名の理解」を助けるために「花名の由来」も付記した。花名は漢字で覚えることをお勧めする。

 掲載してある花の種類は「岩木山と限定」されているが、たとえば弘前市の久渡寺山や平川市の志賀坊高原などに生育しているものは殆ど掲載されている。また、八甲田山や白神山地のものでも、そこの「特産種」以外はすべて掲載されているはずである。それらの山には生育していないが岩木山にはあるというものは当然掲載されている。

 岩木山の登山や他の山の登山に、近くの山野の散策に、自然観察会のテキストとして十分役に立つものと信じている。また、随筆的な花紀行文としても十分楽しめるものと確信している。是非、利用して戴きたい。

 ところで、岩木山ではシラタマノキ、ベニバナイチヤクソウ、エゾシオガマ、エゾノツガザクラ、ナガバツガザクラ、ホソバノアマナ、エゾオヤマノリンドウ、それに山麓部のセンブリ、キキョウ(ほぼ絶滅か)、アズマギク、ヤマジノホトトギス(ほぼ絶滅)、エゾフウロ、オキナグサ(ほぼ絶滅か)、ヤマシャクヤク、それにランの仲間などは極端に生息場所が限られ、しかも数が少ない。

 そこから消えると、岩木山からなくなってしまう「岩木山の絶滅危惧種」でもある。私はこのことを極度に恐れている。青森県や弘前市、鰺ヶ沢町など行政を含めたみんなで、なんとしても保護に努めていきたいと考えている。

 因みに長野県や京都府等では、県独自の「絶滅危惧種」を指定して保護に務めている。青森県や弘前市は「自然がいっぱいなので絶滅することはない」と、もしも、高を括っているのであるとすれば、そのこと自体が「自然保護行政の遅れ」であろう。

 地球温暖化を深く憂いながら、暖冬少雪で岩木山から、早くも鳥海尾根の「山羊」、山頂部の「田植えじっこ」という雪形が既に消え去ろうとしている二〇〇八年五月十日に・・・。

著者略歴

三浦章男(みうら あきお)
一九四一年生まれ。
一九六一年青森県立弘前中央高校定時制課程卒業。弘前大学教育学部入学。
一九六五年弘前大学教育学部中学科卒業。津軽地方の県立高校で国語科教員を三十七年間勤め、三十二年間山岳部顧問。最後は青森県立弘前南高校に十三年間勤務して二〇〇二年三月退職。
約四十七年で、四季を通して岩木山に登り、登頂は千回を越えている。

所属・任務
弘前勤労者山岳会(創立の一九七二年入会創設会員)・日本山岳会(一九八七年入会)会員。
岩木山を考える会(一九九四年設立)設立メンバー・事務局長(二〇〇二年四月~)。

著書
「みちのく岩木津軽富士」「おお悲し、泣くはみちのく岩木山」「陸奥の屹立峰・岩木山」(北方新社刊)
「新日本山岳誌」(共著・日本山岳会)
「ふるさと山紀行」(共著・日本経済新聞社刊)

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