上野の杜へ

加藤忠昌

¥1,760 (税込)

静かなる詩たちが、胸に迫るのはなぜか。我々は何を置いてきたのか・・・。平成5年〜20年にわたる連作「上野の杜へ」21篇、他8篇。エッセイ 続「文学あれこれ」所収。

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商品詳細

  • 製品番号:ISBN978-4-89297-115-0
  • 内容量:100頁
  • サイズ:A5 [148×210mm]
  • 発売日:2008年04月20日
  • 版 数:初版

説明

あとがきより

 連作「上野の杜へ」を書こうと思いたったのは平成七年一月のこと。今は二十年なので、この完成にかれこれ十三年かかったことになる。

 作家で地域誌発行者、森まゆみの「鷗外の坂」(平成十二年)、「彰義隊遺聞」(平成二十年一月)からは、従来あまり知られていなかった上野の歴史がかなり鮮明に浮かびあがってその興味は尽きない。上野の山を別名桜ヶ岡、或いは忍岡と言ったことなどは、右の著書を通して初めて知り得た。

 昭和二十九年頃から始まった集団就職列車や東北地方からの出稼ぎの人達にとって、終着駅上野は故里の匂いのする所だった。休みの日など西郷さんの銅像のあたりには、よくそうした人達がいた。

 〈上野へ行くと涙が出る〉とよく聞く。

 過去を語る時はえてして感傷に陥りやすい。しかし過去を語るということは、過去をもう一度生きるということであり、散り散りになった己れを再びつなぎ合わせることであり、歪んだ心を整える作業なのではあるまいか。「上野の杜へ」で、私はそのことを問うてみたいと思った。

 文学とりわけ詩は、私にとって何よりの生き甲斐だった。今日、こうして生きているのも詩のおかげである。

 エッセイ「続・文学あれこれ」は、最初詩集と切り離そうと思ったが、この際、備忘録の意味をこめてあえて入れることにした。

 

著者略歴

加藤忠昌(かとう ただあき)
一九三二年 樺太生まれ
「創作文芸」「PEN」「あいなめ」「オルフェ」「いかろす」などを経て現在「風」同人
一九七〇年 詩とエッセイ「違った日」
一九七五年 「青森県詩集」上・下共著
一九九三年 詩集「はるかな里」

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